君に届くな

好きだけど届くな それが幸せ

わたしと女王蜂

わたしは女王蜂というバンドが好きだ。

きっかけは2014年に、ボーカルのアヴちゃんがセーラームーンのキャラクター音楽集に楽曲提供したこと。火野レイちゃんにぴったりな楽曲だなぁと聴き込んでいたら、どうやら女王蜂節が効きまくっているらしい、と。

火の海

火の海

あまりにも音域が広すぎるのでアヴちゃんは2人いると本気で思っていた時期もあったが、歌唱力の高さや歌詞の世界観に惚れて今に至る。ジャニーズしか音楽を聴いてこなかったわたしにとって、初めてハマったバンドだった。

 

感覚的な話で申し訳ないのだが、わたしの中には2人の「わたし」がいると幼少期から感じてきた。1人は世渡り上手で求められることにきちんと応えられる良い子のわたし。もう1人はそんな良い子に悪態をつきまくっている、良い子になりきれないわたし。わたしは2人をキキララのような関係だと思っていてどちらも好きだけど、どうやら世間で愛されるのは良い子ちゃんの方だけらしい。高校時代、校則が特に無い学校だったので髪を赤くしたりギャルメイクをして登校していたけど、叶えたい夢があって志望校合格に向けてめちゃくちゃ勉強していた。当然周りはそのアンバランスさが歪に見えるらしく、「どっちが本当なの?」とわざわざ聞いてくる人もいた。今でこそこの感覚をここまでやっと言語化できるようになったが、当時はどちらの自分も許せなくて20歳を過ぎてもなお苦しめられていた。

そんな相反を許してくれるような存在が女王蜂だった。アヴちゃんの女性でもあり男性でもあるニュートラルなジェンダーに憧れるし、病んだ時にはとことん突き放すけど でも帰ってきた時には暖かい毛布で包んでくれるような暴力性と優しさが共存するような楽曲の数々には本当に慰められた。

 

2月12日に福岡サンパレスで開催された、女王蜂のライブに参戦した。このご時世に東京から遠征するのは決して褒められるものではないとわかっていたし直前まで悩んでいたのだけど、それでもわたしは行くという決断をした。この日はツアーオーラス(メンバーの体調不良で振替公演が決まっているので実際はあと2公演あるのだけど、本来なら!)で、ファンの熱気もメンバーの思いも熱かった。アヴちゃんは本当に本当に美しくて、他のメンバーもマイクを持って話すことはないけど にっこり微笑む姿やリズムを取って体を揺らす姿に人間味を感じて、女王蜂って生き仏だなぁとライブ参戦のたびに思う。

前回わたしが女王蜂の有観客ライブに参戦したのは2019年初夏の「火炎」ツアーだったので、2年半ぶりの生女王蜂であった。(余談だが前回のツアーは在豪中だったので、大森靖子ちゃんのライブとこのライブのために一時帰国した。)この頃はセットリストの大まかな流れが固定化しつつあった印象だったのだが、今回はメンバーが食事をするシーンから始まり、でもその食卓はステージとなってアヴちゃんが登場し歌う……というような演出やアヴちゃんのギター弾き語りもあり、これまでにない女王蜂を堪能することができた。時勢柄、無観客ライブにせざるを得なかった経験さえも血肉となっているのだと思う。

女王蜂には本当に本当に、何度も心を救われた。これからもどうか、輝き、愛され続けて欲しい。

Hey!Say!JUMPの「狼青年」の前日譚とアヴちゃんがツイートしたBL。狼青年を提供して以来、ジャニオタに女王蜂の知名度がグッと上がったのが嬉しい。

女王蜂のライブで定番の一曲。ジュリ扇を持って踊り狂うのが楽しい。